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2013年9月28日 (土)

バットを持った剣豪

あのイチローでさえ一目置くバッター、広島の前田智徳選手が現役引退を発表しました。前田選手は、ポテンヒットや内野安打をよしとせず、あくまで打ち切ったヒットを求めました。理想の打球を追い求めるその姿は、古の剣豪を思わせるような雰囲気がありました。

前田選手に関して忘れられない試合があります。1992年9月13日、東京ドームでの巨人戦です。1対0と広島リードで迎えた5回裏、センターを守っていた前田は川相昌弘の打球を後逸。同点に追いつかれると同時に、200勝のかかっていた北別府投手の勝ちを消してしまいます。痛恨のミスを犯した前田は、8回に自らのバットで決勝打となる勝ち越し2ランを放ち、ダイヤモンドを回りながら涙を流すのでした。

意地の一発が涙を流させたのだ。誰もがそう思いました。しかし、事実は違いました。前田は、こう語っています。

「自分に悔しくて涙が出た。ミスを取り返さなければいけなかった次の打席(6回)でセンターフライ。それに腹が立って泣いたんです。最後にホームランを打ったところでミスは消えない。あの日、自分は負けたんです」

選ばれし者たちのプロ野球の世界で、彼は一人、他の選手とは違う次元で勝負をしていたのです。前田選手、長い間お疲れ様でした。

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